会社経営者だった岸田さんは
多額の持ち逃げに遭い、会社は倒産。
伴侶にも逃げられ、ホームレス生活を送り、
自殺一歩手前まで追い詰められたといいます。
現在は悩める経営者の支援と社会貢献に生きがいを見出す岸田さんが、
ホームレス生活から立ち直るまでと
「運とご縁の引き寄せ方」を赤裸々に語っていきます――。
親の借金
親子の絆は何があっても切れないものです。私がまだ学生だった頃のことです。こんな出来事がありました。父親が会社を定年退職したのを機に、今までの家を売って、奈良県に新しい家を建てることになりました。退職金を頭金にし、残りは銀行から借り入れ、まだ働ける父親が毎月、返済するという計画でした。当初は計画通りにいっていましたが、ある時、父親が通勤途中に駅の階段から転げ落ちて骨折し、働けなくなってしまったのです。
父親の仕事は月払い契約のアルバイト契約でしたので、働かないと収入がありません。家のローンも返済しなければなりません。そこで、大学生だった私は、アルバイトをしていましたが、家計を助けるため、時間を増やしました。大阪でのアルバイトが終わって、奈良まで帰るのが最終電車になることも度々ありました。その収入で何とか家のローンの返済ができるようになったのです。
父親の怪我が治って働けるようになるまで、そんな生活が続きました。友人たちは授業が終わると遊びに行ったりデートしたりしているのを羨ましく思ったものです。私は家のローン返済のために働いているのですから。そんな友人たちを横目で見ながら、いつかはのし上がってやるという気持ちを強く持ちました。
しかし、午後から夕方までだったアルバイト時間を夜まで延長してもらうことによって、新しい人との出会いもありました。その出会いが会社を立ち上げる時に役立ったのです。その時は、そんなふうに考えていませんでしたから、人との縁は不思議なものです。
(次週に続く)
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