会社経営者だった岸田さんは
多額の持ち逃げに遭い、会社は倒産。
伴侶にも逃げられ、ホームレス生活を送り、
自殺一歩手前まで追い詰められたといいます。
現在は悩める経営者の支援と社会貢献に生きがいを見出す岸田さんが、
ホームレス生活から立ち直るまでと
「運とご縁の引き寄せ方」を赤裸々に語っていきます――。
義妹夫婦の借金
時を同じくして、前妻の妹のご主人が仕事中に事故に遭い、大怪我で仕事ができなくなってしまいました。個人事業でしたので、それで収入が途絶えてしまったのです。妹は小さな子ども2人を預けて仕事に出ましたが、それだけでは生活費の足しぐらいにしかなりません。親子4人で生活する費用、病院費用等、全く足りなかったのです。
そこで、前妻から「妹夫婦の生活費を毎月、援助してもらえないか?」と頼まれたのです。両親の家の借入金を返済している私としては断ることもできず、毎月20万円を援助することにしました。両親と妹夫婦への出費が重なってしまったのです。会社が順調な時でしたので、当時としては、払えない出費ではありませんでした。それで妹夫婦が助かるならば、いいと思っていました。
しかしそれも、私の会社が持ち逃げ詐欺に遭って、当然、捻出できなくなってしまいました。そんな時、やはり聞こえてくるのは、私が悪いという声です。困っている人のために善意でやっていたことなのに、お金が無くなると人は世話になった人にでも罵声を浴びせるのですね。まるで利用する価値がなくなったらポイとゴミ箱に捨てるように……。
私は、今まで困っている人がいればできるだけ手を差し伸べようと考えてきました。騙されたことも多々ありました。しかし、助けた身内から「金の切れ目は縁の切れ目」のように扱われるほどつらいものはありません。人間不信になるのも無理はありません。助けてもらっていることが、当たり前になることが、一番恐ろしいことなのだと思います。
そんな自分に嫌気がさしてしまうこともありますが、それが勉強だと思えるようになると救われるようになります。自分が幸せになるのだという強い気持ちを持てば、未来は開けてきます。私も一時は希望も無くしてしまいましたが、こんな未来を作りたいと思い浮かべるようになると、またやる気も出てきました。
人を信じられなくなること程、つらいものはありません。自暴自棄に陥ることもあります。しかし、この人は信じてみようと思える出会いは必ずやってくると私は信じています。自分の未来図を思い浮かべてみると、一人では生きていけないことが分かってきます。
(次週に続く)
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