会社経営者だった岸田さんは
多額の持ち逃げに遭い、会社は倒産。
伴侶にも逃げられ、ホームレス生活を送り、
自殺一歩手前まで追い詰められたといいます。
現在は悩める経営者の支援と社会貢献に生きがいを見出す岸田さんが、
ホームレス生活から立ち直るまでと
「運とご縁の引き寄せ方」を赤裸々に語っていきます――。
信じる力
言葉に心があるかどうかを判断するのは難しいものです。魑魅(ちみ)魍魎(もうりょう)が溢れかえっている社会にあって、本当を見分ける目を養うことが大切。詐欺に関わるニュースを目にしない日はありません。詐欺師というのは、本当に言葉巧みに心の中に入ってくるものです。それを防ぐには、家族構成や仕事内容、友人関係等、うかつに他人に話さないことです。少しでも隙があれば、そこに入り込んできますから。
しかし、社会に出て仕事をしていると、何も話さないというわけにはいきません。そこで大事なのが、相手をよく観察することです。相手を疑うということではありません。自分の身を守る為には自己防衛も必要です。その人にどんな友人がいるか、どんな仕事をしてきたか等をよく観察してみてください。対話を重ねていくと本当の相手の心が見えてきます。
最初から親しくなる必要はありません。距離を少しずつ詰めていけばいいのです。私が詐欺にあったのは、すぐに他人を信じてしまったからです。友人の紹介だからといって、他人を信じることはもってのほか。大きな失敗から私が学んだことです。
対話を通して本当に相手を信じられると確信してから自分のことを話せばいいのです。対話といっても、こちらから話すだけでなく、まず相手の話をじっくり聞くようにしてください。日々、何を思い、何に悩み、どこを目指しているのか。すると、共通の価値創造の道が開けてくることもあります。相手の“心の鏡”に、こちらの真心を映し出すのです。
人との出会いは、相手はもちろん、自らの心も大きく揺さぶります。実現したい目標や決意を話し合ってみてください。勇気と希望の言葉の力によって人生は変わり始めますから。未来がどうなるか、それは誰にも分かりません。ただし、「未来の果は現在の因にあり」ということは分かっています。だから今、目先にとらわれず、希望の未来へ、できることから挑戦したいものです。
(次週に続く)
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