会社経営者だった岸田さんは
多額の持ち逃げに遭い、会社は倒産。
伴侶にも逃げられ、ホームレス生活を送り、
自殺一歩手前まで追い詰められたといいます。
現在は悩める経営者の支援と社会貢献に生きがいを見出す岸田さんが、
ホームレス生活から立ち直るまでと
「運とご縁の引き寄せ方」を赤裸々に語っていきます――。
家賃を3カ月滞納
画像・AdobeStock
ホームレス生活をしながらコンサルタントと皿洗いのバイトでコツコツ貯めた貯金が約30万円になりました。ホームレス生活を始めて半年後のことでした。不動産屋さんに行き、物件を見て回りましたが、できるだけ敷金や礼金、共益費が安く、初期費用が掛からないことが私の第一条件です。ホームレスからの入居と話すと物件の紹介を断る不動産屋さんもありました。そんな中、私の話を聞いて「協力しましょう」と言ってくれた不動産屋さんがあったのです。
紹介された物件の中で、一番気に入ったのは、大阪府八尾市にある6畳一間の物件。大家さんに私の今の状況を説明すると、水道代の全額、インターネットのプロバイダー代の半額を大家さんが持ってくれると言ってくれたのです。共益費等全て込みで53,000円です。私にとって贅沢過ぎるかもしれませんが、即決でそこに決めました。
6畳一間は狭いですが、家財は中古品で揃えることができ、今までのホームレス生活に比べると天国です。屋根があって雨風を凌げますし、柔らかい布団で寝ることができるのですから。それに夜も照明を点ければ、明るくなり安心できます。天国にいるような気持ちでウキウキしていましたが、そんな幸せな気分もつかの間で終わってしまいました。というのは電気・ガス代を支払ったら家賃が支払えなくなってしまったのです。元ホームレスの私をこんないい条件で入居させてくれた大家さんに何て説明しようかと悩みました。しかし、こういう時は正直にわけを話すに限ります。
私は、家賃滞納で部屋を追い出されるのではないかとドキドキしながら大家さんに事情を説明に行きました。ところが、大家さんは優しく「気にしなくていいですよ。お金ができた時でいいですから」と言ってくれたのです。本当に救われました。しかし、その後、また支払えなくなりました。
私は、再び事情を説明しに大家さんの家に向かいました。今度こそ退去させられると覚悟はしていましたが、大家さんは「岸田さん、大丈夫、大丈夫。無理しなくていいですからね」と言ってくれたのです。私は優しい言葉に、「もう甘えていてはダメだ!!」と気持ちを切り替え、家賃の支払いを優先することにしたのです。電気・ガス代は後回しです。もう大家さんの厚意に甘えることはできませんでした。
今まで以上に切り詰める生活を始めました。まずは食費と携帯電話代を見直すようにしました。特に食費は一日500円と決めました。安くて栄養価のある食品を調べて、安いスーパーマーケットで買い、できるだけ自炊をするようにすると、かなりの食費が浮いてきます。毎日同じもので飽きる時もありましたが、ホームレス生活では腐りかけたバナナまで口にしたことを思うと月とスッポンです。
(次週に続く)
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