会社経営者だった岸田さんは
多額の持ち逃げに遭い、会社は倒産。
伴侶にも逃げられ、ホームレス生活を送り、
自殺一歩手前まで追い詰められたといいます。
現在は悩める経営者の支援と社会貢献に生きがいを見出す岸田さんが、
ホームレス生活から立ち直るまでと
「運とご縁の引き寄せ方」を赤裸々に語っていきます――。
少しずつ向上させる
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心を病み、なにもやる気が起きない生活が一年ほど続きました。しかし、私は、生活をするために、仕事をしないといけません。セーブしながらと思いつつ、ついつい頑張ってしまっては、前より落ち込むことをくり返しました。その頃が、治療の中でも一番つらかったでしょうか。やる気がなく睡魔に襲われる状態の中で、頑張らないといけないのですから。いつになればこの状態から脱け出すことができるという不安と焦りが交錯していました。
やっと精神状態も安定し出して、治療も次の段階に入ります。まずは、今までの薬の量を減らし、気持ちを上向きにする治療が始まりました。薬を切り替える時は不安定さが出ますが、これでやっと初期段階を卒業し、次のステップに進めるという気持ちでした。
それでも、病気と一人で向き合わないといけないという孤独感はあります。誰かにこの状態を話して、少しは楽になりたいという気持ちもありました。そんな時に気持ちを癒してくれたのは、家の近所にある公園で無邪気に遊ぶ子供たちでした。孤独感で心がはち切れそうになると、いつも公園に行って、大空の下で遊ぶ子供たちを見ていました。元気な姿に勇気と笑顔を貰ったものです。
心の病気というものは、一人で立ち向かうのは難しいものです。だからといって、自分以外の人が状況を変えることはできないことも事実です。心が叫んでいても、解決するのは自分自身です。どうすれば心が安定するかは人それぞれ。無理に頑張って、もっと仕事をしようなんてもってのほか。今、ある状況をいかに崩さないようにするかが大事です。他人に何を言われようが、病気の時こそ、自分を信じることが大切なのです。
(次週に続く)
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