会社経営者だった岸田さんは
多額の持ち逃げに遭い、会社は倒産。
伴侶にも逃げられ、ホームレス生活を送り、
自殺一歩手前まで追い詰められたといいます。
現在は悩める経営者の支援と社会貢献に生きがいを見出す岸田さんが、
ホームレス生活から立ち直るまでと
「運とご縁の引き寄せ方」を赤裸々に語っていきます――。
長期間の治療を終えて
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私は、持ち逃げ詐欺や株券詐欺に遭ったことがトラウマとなり、人を信用できなくなっていました。そのためか、うつ病とパニック障害の治療に8年ほどかかってしまったのです。その期間、ずっと一人での闘いでした。こんなことを思ったことが何度あったでしょうか。「同じ屋根の下に家族と呼べる人があれば・・・」と。
人は弱いものです。一人で生きていくことは、いかに大変か。今、病気、人間関係、お金の問題等と闘っている人もいるでしょう。しかし、決して一人で解決しようなんて思う必要はありません。身近な信頼できる人にアドバイスを貰ってください。自分にはない知恵が湧いたりしますから。
私は、長期間の治療を終えて、自信を持って言えることがあります。寄り添う人がいることがいかに大事かということです。どんな苦悩があったとしても、寄り添ってくれる人が一人いるだけで、心の安らぎを得ることができるのです。家族であっても親友であっても、先輩であってもいいのです。私は、残念ながらそういう人がいませんでしたので、医師を信じることしかできませんでした。しかし、病院では話を聞いてもらえますが、家に帰ると孤独です。それがまた病気を悪化させる要因にもなるのです。
今は、やっと人を信用できるようになり、仲間もたくさんできました。まだ家族はいませんが、やっと病気から抜け出せたように感じます。私の場合、一番苦しかった時に寄り添って貰える人はいませんでしたが、これからは、私が人に寄り添っていける立場になりたいと思っています。
私は、心の病で苦しんだ分、心の病気を経験していない人以上にできることがたくさんあると思います。人にアドバイスをするにしても、自分が経験したことほど、説得力のあるものはありません。「いつまでも続く冬はない、必ず春は来る」「天は、その人が乗り越えられる壁しか作らない」「試練の先には自分が果たす使命がある」と考えるようにすることです。
(次週に続く)
岸田さんのブログ