虐待の兆候を発見するために
このように見ると程度の差はあっても性別に関係なく、介護生活にかかわる誰もが虐待の加害者になる可能性があるといっても過言ではないでしょう。
ただ、日本の伝統的な家庭における役割分業のなかで、女性が家族の介護を押し付けられてきた経緯があります。ですから、女性には相談できる地域の友人や知人などのネットワークがあるのに比べ、仕事一筋人間だった男性の場合は、地域に友人や知人もおらず、相談できるネットワークがありません。介護を担おうとしても職場の理解がない場合もあるでしょう。
そのような困難な状況のなかで、介護のストレスから生じる虐待を、実際に本人や家族が認識していない場合も少なくないため、在宅医の私たちが発見することも難しいのが実情です。
しかし、どのような虐待も必ずそれに至る前兆はあります。早期に虐待の兆候を発見するために私たちは、在宅医療の現場で下記のチェックシートを利用して虐待の予防に役立てています。