お父さんのための介護教室

第2回「介護は仕事のようにいきません」

医師 髙瀬 義昌
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第2回「介護は仕事のようにいきません」

仕事感覚からの脱却

そんな不慣れな介護に男性が携わるときに、まず陥りやすいのが仕事の感覚で認知症の家族と向き合ってしまうことです。

長年の仕事の経験が身についているので、介護の現場でもその感覚で行なってしまうのは仕方がないこととは思います。現に、スケジュールをしっかり立てて、何時何分にどんな介護をしたなど、几帳面に記録を書くなど、プランどおりに取り組もうとされるのは、女性よりも男性に多いようです。

もちろん計画を立てるのは大切なことです。しかし、仕事のように自分の計画どおりにはいかないのが介護です。

認知症の家族のために自分がやらなければと一人で在宅介護を決心し、綿密に取り組もうとするような男性ほど、やがて自分の思いどおりにはいかない現実とのギャップに悩むことになります。

たとえばアルツハイマーの人は、被害妄想が強くなるので、ご主人が一生懸命面倒を看れば看るほど、「あなたがお金を盗った」などと、「物盗られ妄想」の対象にされてしまうケースが多かったりします。

そのような状況がくり返されるわけですから、計画どおりに介護をするどころではありません。ともすれば、介護をしている人が睡眠障害やうつ病になってしまったり、虐待してしまうといった悲劇に発展する可能性もあります。そうなってしまっては家族みんなが不幸になってしまいます。

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