お父さんのための介護教室

「たかが便秘」とあなどることなかれ

医師 髙瀬 義昌
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下剤の副作用

「大腸黒皮症」が進行すると、大腸に悪性ポリープが発生し、大腸がんにかかってしまう危険性をはらんでいます。

その他に、通称「カマ」と呼ばれる「酸化マグネシウム」が主成分となっている下剤も、長期間にわたって服用していると神経障害を引き起こすことがわかってきています。

また、腸閉塞の前段階ともいわれる腸のけいれんも副作用の一つです。これは、急に腸が動かなくなって便秘や腹痛をくり返すもので、とりわけ高齢者によく見られる症状ですので、気をつけなければいけません。

大腸の表面は、扇子を開いたような構造をしています。その扇子の要にあたる部分に血管が集中しています。この血管が詰まって発症する「腸管壊死」にかかる場合もあります。これは命にかかわる症状ですので、たかが便秘と軽視しないほうがよいでしょう。なかでもたばこをたくさん吸う人、アルコールを大量に摂取する人、糖尿病の人は要注意です。

また、前々回に紹介しましたが、便秘が引き金となって「せん妄」という意識障害が起きることも忘れてはいけません。

とはいえ、現実には便秘の治療に下剤は欠かせません。ですから、下剤のなかにはこうした副作用があるということを介護に携わる方々には知っておいていただきたいと思います。

最近では、「アミティーザ」という副作用が少ない薬も出てきました。ただし、人によっては下痢や吐き気に襲われる場合もありますので、医師と相談のうえ、ご使用ください。をされることをお勧めします。

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