プライドとは、言い換えれば「自我」です。自我とは「わたしがここにいる」「わたしは偉い」という実感のことです。
人間の苦しみ、悲しみ、そして戦争などのあらゆる問題は、この「自我という実感」がつくりだしているのです。
人は「わたし」という自分の尊厳を傷つけられると、心は怒りに満ちてきます。
この「わたし」という実感が、「わたしの家族」「わたしの会社」「わたしの国」というふうに拡大され、妄想がふくらんで、そこに大きな争いが起きてしまうわけです。
太平洋戦争のとき、アメリカは日本に原爆を落としました。それは、「世界一強くて偉大な国であるアメリカを日本は侮辱した。だから、わが国の力を見せつけてやるのだ」という思いからでしょう。またニューヨークで「同時多発テロ事件」が起きました。それによって、アメリカはアフガニスタンという小さな国を爆撃しました。さらには、イラクにも攻め込みました。アメリカには、「われらこそ力があって正義の国である。われらは正しいのだ」という強烈な思いがあります。だからアメリカは「正しいわれらを侮辱した者は許さない」と言わんばかりに、国民の愛国心を風船のようにふくらませ、戦争を始めたのです。
プライドとは、それほど危険なものなのです。
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「ダンマパダ」とは、「真理のことば」という意味です。わたしは「お釈迦さまのことばにいちばん近い経典」と言われるパーリ語の「ダンマパダ」を日本語に直訳し、一人でも多くの人にお釈迦さまの教えを伝えたい、と願っています。
お釈迦さまの教えを「一日一話」というかたちでまとめ、それぞれにわたしの説法を添えました。大切なことは、お釈迦さまの教えを少しずつでも実践することです。そうすれば、人生の悩みや苦しみを乗り越えていくことができるでしょう。
アルボムッレ・スマナサーラ
出版社:佼成出版社
定価:本体1,100円+税 Kindle版(kindle unlimited) 0円
発行日:2003年10月
バックナンバー「 原訳「法句経(ダンマパダ)」一日一話」