原訳「法句経(ダンマパダ)」一日一話

過去を思い悩むのは不幸になる訓練である

アルボムッレ・スマナサーラ
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お釈迦さまは、そのようなことは「遺体を背負って運んでいるようなものだ」とも言われました。矢を抜かずにおけば、いたずらに苦しむだけです。重たい遺体をいつまでも背負っていては、いたずらに疲れるだけです。過去のことを思い悩む人は、不幸の訓練をしながら生きているようなものです。

自分の幸福をこわしているのは、自分に悪いことをしたいやな人びとではありません。それは、悪いことを忘れないでいつまでも怨みつづける自分の心なのです。

人は真理に目覚めないかぎり、いろいろな間違いを繰り返します。あなたを攻撃したり意地悪をした人も、やりたくてやったわけではなくて、ただ真理がわからなかったから過ちを犯したのです。

子どもがなにか過ちをしでかしても「まだこの子にはわからないことだから」と許してあげるように、その人を怨むのではなく、許すほうが賢い生き方なのです。相手に仕返しをすることで、けっして幸福を得ることはできないのです。

 

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「ダンマパダ」とは、「真理のことば」という意味です。わたしは「お釈迦さまのことばにいちばん近い経典」と言われるパーリ語の「ダンマパダ」を日本語に直訳し、一人でも多くの人にお釈迦さまの教えを伝えたい、と願っています。
お釈迦さまの教えを「一日一話」というかたちでまとめ、それぞれにわたしの説法を添えました。大切なことは、お釈迦さまの教えを少しずつでも実践することです。そうすれば、人生の悩みや苦しみを乗り越えていくことができるでしょう。

アルボムッレ・スマナサーラ

*アルボムッレ・スマナサーラ長老(**Ven. Alubomulle Sumanasara Thero**)*
テーラワーダ仏教(上座仏教)長老。1945年4月スリランカ生まれ。13歳で出家得度。国立ケラニヤ大学で仏教哲学の教鞭をとる。1980年に国費留学生として来日。駒澤大学大学院博士課程を経て、現在は日本テーラワーダ仏教協会で仏教伝道と瞑想指導に従事する。他にNHK教育テレビ「心の時代」出演、朝日カルチャーセンター講師などを務める。『ブッダの幸福論』『無常の見方』『怒らないこと』(和文)『Freedom from Anger』(英文)など著書多数。
原訳「法句経(ダンマパダ)」一日一話
著者:アルボムッレ・スマナサーラ
出版社:佼成出版社
定価:本体1,100円+税 Kindle版(kindle unlimited)
発行日:2003年10月
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