原訳「法句経(ダンマパダ)」一日一話

解決しようとじたばたしない

アルボムッレ・スマナサーラ
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もしも一人で船出をして、だれもいない海に落ちたら皆さんはどうしますか。やみくもに泳げば、体力を使い果たして溺れてしまいます。できるだけ体力を使わないようにして、そのまま浮いていることが必要です。海面に浮いてさえいれば助かる可能性があります。それは人生においても同じです。問題という海の上で、ただ浮いてさえいればいいのです。焦らずに自分の心をしっかり明晰にたもっておくことが大切なのです。

心が落ち着いてさえいれば、問題の本質が見えてきます。どんなに努力しても解決できない問題もあれば、なんとか努力をすれば解決できる問題もあります。なかには放っておけば解決してしまう問題もあるでしょう。つまり問題の本質をきちんと見きわめることができれば、「解決しようがない問題だから放っておこう」とか「この問題はきちんと解決しておこう」という具合に道が開けていくのです。

人生とは新しい毎日の連続です。人生において同じ出来事は二度と起こりません。今日の問題は、今日だけのものです。そのつど、出遭う問題は、まったく新しいものなのです。だから、「昨日と今日は違う。明日も違う。今日はどうなるかわからない。明日もどうなるかわからない」という気持ちでチャレンジしていくと、人生は、生き生きとしてきます。

人生というものは瞬間の連続です。その瞬間が終わったら、終わったことにはこだわらず、またつぎの瞬間のことにチャレンジするのです。すると、いつもひらめきがでてくるようになります。そうなると人生は、俄然、おもしろくなるのです。

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「ダンマパダ」とは、「真理のことば」という意味です。わたしは「お釈迦さまのことばにいちばん近い経典」と言われるパーリ語の「ダンマパダ」を日本語に直訳し、一人でも多くの人にお釈迦さまの教えを伝えたい、と願っています。
お釈迦さまの教えを「一日一話」というかたちでまとめ、それぞれにわたしの説法を添えました。大切なことは、お釈迦さまの教えを少しずつでも実践することです。そうすれば、人生の悩みや苦しみを乗り越えていくことができるでしょう。

アルボムッレ・スマナサーラ

*アルボムッレ・スマナサーラ長老(**Ven. Alubomulle Sumanasara Thero**)*
テーラワーダ仏教(上座仏教)長老。1945年4月スリランカ生まれ。13歳で出家得度。国立ケラニヤ大学で仏教哲学の教鞭をとる。1980年に国費留学生として来日。駒澤大学大学院博士課程を経て、現在は日本テーラワーダ仏教協会で仏教伝道と瞑想指導に従事する。他にNHK教育テレビ「心の時代」出演、朝日カルチャーセンター講師などを務める。『ブッダの幸福論』『無常の見方』『怒らないこと』(和文)『Freedom from Anger』(英文)など著書多数。
原訳「法句経(ダンマパダ)」一日一話
著者:アルボムッレ・スマナサーラ
出版社:佼成出版社
定価:本体1,100円+税 Kindle版(kindle unlimited)
発行日:2003年10月
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