いつも「ああ忙しい、ああ忙しい」と嘆いては、追い立てられているように日々を送っている人がいます。ところが、その人の生活をよく観察してみますと、ほんとうに忙しいのではありません。忙しくて時間がないのではなく、雑事に追われて混乱していて、心が落ち着かないだけのことなのです。だから、忙しいと感じてしまうのです。
仕事や家事を「巧みにこなす」ことができれば、「忙しい、忙しい」と焦ることはないでしょう。「巧みな人」は、どんな仕事でも、焦ることなく余裕をもってこなすことができます。では、「巧みな人」になるには、どうしたらよいのでしょうか。お釈迦さまは、「今、行なっていることについて、正しく気づくことだ」と説いています。「正しく気づく」とは、今みずからが行なっていることに、いつも気づいていることです。
たとえば皿を洗うときには、皿を洗うことに気づいている、歩いているときには、歩いていることに気づいている、ダイコンを切るときには、切ることに気づいていることなのです。それができれば、何事につけても、巧みにこなすことができます。
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「ダンマパダ」とは、「真理のことば」という意味です。わたしは「お釈迦さまのことばにいちばん近い経典」と言われるパーリ語の「ダンマパダ」を日本語に直訳し、一人でも多くの人にお釈迦さまの教えを伝えたい、と願っています。
お釈迦さまの教えを「一日一話」というかたちでまとめ、それぞれにわたしの説法を添えました。大切なことは、お釈迦さまの教えを少しずつでも実践することです。そうすれば、人生の悩みや苦しみを乗り越えていくことができるでしょう。
アルボムッレ・スマナサーラ
出版社:佼成出版社
定価:本体1,100円+税 Kindle版(kindle unlimited)
発行日:2003年10月
バックナンバー「 原訳「法句経(ダンマパダ)」一日一話」