愚かな者は、自分にありもしない尊敬を得ようと願う。
修行僧らのあいだでは高い地位を望み、僧院にあっては支配権を望む。
「ダンマパダ」(73)
愚か者の特徴は、自分が賢者に見られたいということです。そういう人にかぎって有名な先生につこうとします。偉い先生のそばにいることをありがたがるのです。「自分はすごいぞ、知っているぞ」と見せかけるために、賢者のそばにいます。朝から晩まで、先生につきっきりでいるのです。「わたしは、あの大先生の弟子です」と言いたいのです。見栄を張って威張ろうとします。
しかし、いくら立派な先生のそばにいても、賢者に見られたいという気持ちでいたならば、なにも学ぶことはありません。「わかりたい、学びたい」という人は、ほんの少しでも真理に触れたならば、すぐにそれを理解することができます。あたかも舌の先がちょっとでもスープに触れたら、その味がわかるように。
「自分はなにも知らない」として学びつづける人は、かならず花が咲きます。人はいつ学ぶのが終わるかというと、それは死ぬ瞬間です。「学ぶのは死ぬまで。教えてもらうのは死ぬまで」。インドにはそういうことわざがあります。
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「ダンマパダ」とは、「真理のことば」という意味です。わたしは「お釈迦さまのことばにいちばん近い経典」と言われるパーリ語の「ダンマパダ」を日本語に直訳し、一人でも多くの人にお釈迦さまの教えを伝えたい、と願っています。
お釈迦さまの教えを「一日一話」というかたちでまとめ、それぞれにわたしの説法を添えました。大切なことは、お釈迦さまの教えを少しずつでも実践することです。そうすれば、人生の悩みや苦しみを乗り越えていくことができるでしょう。
アルボムッレ・スマナサーラ
バックナンバー「 原訳「法句経(ダンマパダ)」一日一話」